リタイア後の住まい選び:55+コミュニティと固定資産税の仕組み
55歳以上向けコミュニティには誰が住める?
ここ最近、少し南に足を延ばして、サンディエゴ近辺にある55歳以上向けコミュニティ(55歳以上の方が住めるように設計された住宅エリア)をいくつか視察してきました。日本ではあまり馴染みのない「55+コミュニティ」ですが、アメリカでは一般的な選択肢の一つになっています。
視察したエリア。道路も広く静かな環境でとても住みやすい印象。
リタイア後の住まいについて、具体的なイメージはありますか?
お子さんやお孫さんの近くに暮らしたい方、静かで落ち着いた環境を求める方、趣味に没頭できる場所を重視する方、人によって優先するポイントはさまざまです。
アメリカには「55+コミュニティ」と呼ばれる、55歳以上の方を対象とした住宅エリアがあります。集合住宅の場合もあれば、一軒家が並ぶエリア全体が55+指定となっている場合もあります。介護施設とは異なり、アクティブに余生を楽しみたい方向けの住環境です。
視察した物件内。直前にリモデルされており、キッチンもコンパクトですが使い勝手も良さそう。
ちなみに購入には55歳以上であることが条件ですが、場所によってはテニスコートやゴルフ場、ジム、イベントなどが整備され、さらにHOA(管理組合)が家のメンテナンスを担ってくれるため、趣味や人との交流に時間を使えるのが魅力です。
入居者全員が55歳以上でないとだめ?
コミュニティによっては、55歳以上の方がいれば、その配偶者や18歳以上のお子さんと一緒に住める場合があります。購入やリースを検討する際は条件を確認しておきましょう。一時的な子どもや孫の滞在は問題ありません。
なぜ55+コミュニティを選ぶのか
実際には「リタイアしたから」ではなく、子どもが巣立ち、広すぎる家を縮小したい、家の管理に時間をかけたくない、という理由が多く見られます。住民は同世代が中心のため、アクティビティや交流を通じて自然に仲間ができ、生活の充実度を高めやすい環境です。
固定資産税や売却益はどうなる?
住み替えると固定資産税が跳ね上がるのでは、と心配される方もいます。例えば、過去に17万ドルで購入した家(固定資産税年間3,000ドルと仮定)を90万ドルで売却した場合、本来なら税額は4倍近くに上がる計算です
しかしカリフォルニアでは、55歳以上であれば、売却額と同額またはそれ以下の住宅を購入する際、従来の固定資産税を引き継げる制度 (Proposition 19) があります。これを活用すれば、税負担の増加を防ぐことが可能です。さらにキャピタルゲイン(売買差益)については、単身で25万ドル、夫婦で50万ドルまで非課税となります。
財務状況や税制の細かい点はCPA(公認会計士)に確認するのが安心ですが、ライフスタイルに合わせて住まいを選び直すことは、生活の質を高める一つの大きな要素ではないでしょうか。