カリフォルニア不動産投資における減価償却とは?

一つ前のブログで日本とアメリカの新築物件と中古物件の比較をご紹介しましたが、今回はカリフォルニアでの投資物件における減価償却(Depreciation)の仕組みについてお話したいと思います。

 

減価償却とは?

減価償却とは、建物などの資産の価値が時間の経過とともに減少すると見なして、その価値を一定期間に分けて経費計上する仕組みです。アメリカでは、実際には物件の価格が上昇していても、税務上は建物の価値が減るものとして扱い、毎年一定額を経費として控除できます。

 

減価償却期間(耐用年数)

アメリカでは、住宅用賃貸物件(例:一戸建て・アパート)は、27.5年間で減価償却します。日本では建物の構造の種類によって耐用年数が異なってきますが、こちらでは木造でも鉄筋コンクリートであっても同様の年数が適用されます。(商業用物件は39年)

  • 毎年の減価償却額は、建物価格÷27.5年で算出

  • 土地の価格は減価償却の対象外

  • たとえ築50年の建物であっても、購入時から27.5年が適用(前の所有者が既に減価償却していても新たな所有者の元で27.5年が再スタート)

 

減価償却の計算方法(例)

  1. 物件の取得価格を確認:たとえば、総額50万ドル

  2. 土地と建物の比率を分ける:例)土地20%、建物80% → 建物価格=40万ドル

  3. 毎年の減価償却額を計算:40万ドル÷27.5年≒14,545ドル/年

この14,545ドルは、毎年の不動産収入から差し引ける経費として扱えます。

土地と建物価格の比率については、立地やその時のマーケット状況によっても異なってきますがロサンゼルス近郊での目安として扱われる比率は

  • 都市部: 土地60-80% 建物20-40%

  • 郊外: 土地40-60% 建物40-60%

  • 内陸部: 土地20-40% 建物60-80%

 

土地と建物の配分は税務上とても重要です。土地の割合が高すぎると減価償却額が小さくなり節税効果は減るものの、低すぎると減価償却額は増えますがIRS(アメリカの国税庁)からの指摘が入る可能性もあります。

 

修繕と改良の違い(経費 vs 減価償却)

  • 修繕(Repair):水漏れ修理・壁の塗装など → 即時経費

  • 改良(Improvement):キッチンのリフォーム・屋根の交換など → 資産として扱い、減価償却が必要

 

売却時の償却資産の回収税(Depreciation Recapture)

物件を売却する際、過去に減価償却として差し引いた金額に対して、税金が課されます(最大25%の連邦税)。

加えて、カリフォルニア州税(最大13.3%)も適用される場合があります。

 

節税のための対策

  • 1031 Exchange: 売却益や減価償却回収税を繰り延べ

  • 相続によるステップアップ: 死亡後に相続された場合、減価償却の回収はリセット

  • 計画的売却: 所得の低い年に売却をすることで税率を抑える

 

アメリカ不動産投資の大きな魅力のひとつが、この「減価償却」による節税効果です。実際に投資を行う際は現地の会計士さんと相談することをおすすめします。

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