住宅不足に挑むカリフォルニア州 ― SB79法案で駅地下住宅開発を促進

交通機関の駅近くに住宅建設を促進 ― SB79法案が可決

カリフォルニアの長年の課題は、増え続ける人口に対して手ごろな価格の住宅供給が追いついていないことです。私が初めてロサンゼルスに来たとき、最初に感じた印象は「空が広くて青いな~」ということでした。でも、それもそのはず。シティのゾーニング(用途地域制限)によって高層建築が制限されているため、結果的に住宅は郊外へと広がっていったのです。日本のように国土が狭く、前は海・すぐ後ろは山という地理的制約があるわけではなく、ロサンゼルスは土地が広い。そのため、わざわざ高層ビルを建てる必要もあまりなかったのかもしれません。

SB79とは?

先月、ギャビン・ニューサム知事は、住宅価格高騰への対策として、交通機関の駅近くに住宅を増築できるようにする法案「SB79」に署名することを発表しました。州はこれまで交通機関の整備に数十億ドルを投じてきましたが、その周辺に十分な住宅を建ててこなかった現状があります。ニューサム知事は、交通機関近くに住宅を増やすことで次のような効果が期待できると述べています。

  • 交通機関の利用者増加

  • 渋滞や大気汚染の緩和

  • 住宅価格の抑制

  • 雇用・教育・サービスへのアクセス向上

SB79の対象エリア

SB79は、特定の基準を満たす鉄道駅およびバス高速輸送(BRT)停留所から半マイル以内の住宅開発を対象としています。

LA City Planning Deptが出している資料の一部。主要なメトロの駅を中心に開発、停留所からの距離によって建設できる建物の高さが制限される

ちなみにSB79は以下の地域のみ適用

アラメダ郡、ロサンゼルス郡、オレンジ郡、サクラメント郡、サンディエゴ郡、サンフランシスコ郡、サンマテオ郡、サンタクララ郡

建設できる建物の高さ

  • 停留所に隣接する場所:最大9階建て

  • 1/4マイル以内:最大7階建て

  • 1/4~1/2マイル以内:最大6階建て

これには、BART(サンフランシスコ)、Caltrain(サンフランシスコ)、ロサンゼルス・メトロ(B線・D線)沿線の停留所も含まれます。

指示と懸念の声

支持者は、長年の住宅不足を解消するきっかけになると歓迎しています。一方で反対派は、「過剰な開発により地域の個性が失われる」「地元住民の意見が反映されにくくなる」などの懸念を示しています。

住宅が増えることで住みやすくなるという一面と、街並みが変化する、このバランスをどう取るかが今後の課題のようです。

関連法案: オフィスから住宅への転換とADU建設の促進

ニューサム知事はSB79に加え、オフィスビルの住宅転換を簡素化する法案と、ADU(Accessory Dwelling Unit/母屋と同じ敷地内にある賃貸併用住宅離れ)のようなもの)の建設を促進する法案にも署名をしました。これらの取り組みは、既存の土地や建物を有効に活用しながら住宅供給を増やす方向性を示しています。

長年の住宅不足に悩まされてきたカリフォルニア。交通機関のそばに住宅を増やすことで、人々の生活圏がより近く、便利になる可能性があります。一方で、開発のスピードが街の個性を変えてしまうリスクもあります。

日本を見習ってとは言いませんが、公共交通機関がより使いやすく、身近なものになるといいなと思います。とはいえ、あのぎゅうぎゅうの電車通勤をアメリカで想像するのは、ちょっと難しいですよね。

この法案が、カリフォルニアの住宅問題解決の新たな一歩になるのか、今後の動向に注目です。

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