家の名義の取り方 ③

前回、前々回は、カリフォルニア州における不動産の主な名義(Title)の持ち方として、以下の①から⑤についてご紹介しました。

  1. Community Property

  2. Community Property with Right of Survivorship

  3. Joint Tenancy

  4. Tenancy in Common

  5. Partnership

  6. Trust

今回は⑥、アメリカで非常によく利用されているTrust (トラスト)についてお話したいと思います。

 

Trust とは?

Trust(トラスト)とは、財産の名義を個人ではなく、Trust という仕組みに移し、「財産を管理する人(Trustee)」と「利益を受ける人(Beneficiary)」を分けて管理する方法です。

アメリカでは、相続対策、資産保護、プライバシー管理などの目的から、不動産をTrust名義で所有するケースが非常に多くあります。Trustを設定する際には、通常、不動産や相続を専門とする弁護士が関わります。Trustに組み込める資産の例として、不動産(家、土地)、銀行口座、投資資産、個人の所有物(例えば宝石、絵画、車など)、知的財産、著作権など多岐にわたり、存命中、または事故や病気などにより権利を行使できない状態でない限りは、財産の所有者(Trustee)が資産の全権を持ちます。

 

なぜTrustが選ばれるのか?遺書(Will)との違い

Trustを作成する大きな理由の一つが、Probate (プロベート)と言われるプロセスを回避するためです。例えば、個人名義で不動産を所有している方が亡くなった場合、たとえ相続人が実子であっても、遺書(Will)の有無に関わらず通常裁判所を通じた相続手続き(Probate)が必要となります。遺言(Will)が存在する場合でも、遺言書の内容について裁判所の認可が必要となるため、必ずしもすぐにその内容通りに進められるとは限りません。

Probateでは、

  • Probate 専門弁護士

  • 裁判所

  • 手続き費用と時間

が必要で、相続完了までにかなりの負担がかかる場合があります。そのため、事前にTrustを設定し、不動産を含む資産をTrust名義にしておくことで、亡くなった後の資産継承をよりスムーズに進めやすくなります。

*上記金額や期間などは目安です。それぞれのケースによって異なりますので必ず専門家とご相談ください。

Trust の種類

Trustには、Revocable またはIrrevocable の2つがあります。Revocable (撤回可能) Trust とは、言葉の通り、資産の持ち主がいつでも内容を変更、終了できる選択肢を有するタイプのTrust になります。

反対に、Irrevocable(撤回不可) trust とは、資産の持ち主(トラストの設定者)はTrustに組み入れた資産に対する支配権を永久的に手放すことになります。すると、Irrevocable trustの場合、Trustに入っている資産は、資産の持ち主(設定者)の総資産に含まれないように設計をすることが可能になり、個人の課税対象分から切り離すことができます。(存命中にこのIrrevocable Trustに資産を移行する場合は贈与税に関する規定が適用)

 

Beneficiary (受益者)は自由に設定できる

Trustでは、Beneficiary(利益を受ける人、相続人) は複数人指定することができるのと、人数、分配割合についても、必ずしも平等である必要はありません。それぞれの家族構成や目的に合わせて柔軟に設計できる点も、Trustの大きな特徴になります。

前回、今回と不動産の名義の持ち方についてご紹介しましたが、どの形が最適かは、それぞれの家族構成、資産状況、目的によって異なります。そのため、一概にこれがおすすめ、と言えるものでもありません。不動産購入時や相続対策を考える際には、不動産エージェントだけでなく、弁護士やCPAなどの専門家と相談をしながら進めることをお勧めします。

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