SSN無しでも契約できる?ロサンゼルス駐在員の部屋探し
アメリカ駐在が決まり、3か月後には渡米予定。日本での仕事の引継ぎ、子供の転校、英語の勉強、引っ越しの準備など、やらなければならないことが山積みです。そして、渡米前に多くの方が悩むのが「アメリカで最初にどこに住むか」という問題ではないでしょうか。
日本のある程度大きな都市で生活していれば、これまで電車や公共交通機関を利用して通勤していた方も多いと思います。しかし、ロサンゼルスは基本的に車社会です。
どのエリアに住めばいいのか。会社までの通勤時間はどれくらいかかるのか。子供がいる場合は学校はどうするのか。そして、そもそも日本にいる間にアパートや家を借りることはできるのか。
ロサンゼルスへの駐在が決まった方にとって、住まい探しは渡米準備の中でも大きな課題の一つです。
今回は、その中でもよく聞かれる、「SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)がまだないのですが、アメリカで家を借りることはできますか?」という疑問についてお話したいと思います。
なぜアメリカの賃貸にはSSNが必要なのか
通常、アメリカで家を借りる場合、大家さんや管理会社から主に次のような書類や情報の提出を求められます。
月額家賃の2.5から3倍程度の収入を証明する書類
クレジットヒストリーやクレジットスコア
Background Check (身元調査・犯罪歴など)
クレジットスコアとは?
クレジットスコアとは、簡単に言えば、アメリカにおける個人の「信用度」を数値化したものです。日本で生活していると、あまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカでは非常に重要なものです。銀行口座を開設した後、クレジットカードを作り、カードを利用して、期日までにきちんと支払いをする。
このような、
使う → 期日までに返済する → また使う → また返済する
という履歴が積み重なっていくことで、少しずつクレジットヒストリーが作られ、クレジットスコアが形成されていきます。一般的には、アメリカでクレジットカードを使い始めてから、数か月程度で最初のスコアができあがってきます。
SSNは信用情報を引き出すための「鍵」
このクレジットヒストリーを照会するために必要なものが、ソーシャルセキュリティナンバー(SSN)です。この個人の識別番号は、年に1度のタックスリターン(確定申告)をする際にも必要になります。アメリカに引っ越しをしたら、この番号をSocial Security Officeで申し込みましょう。(ビザの種類によってはSSNを申し込めない場合もありますので適用条件を確認しましょう)
駐在員が直面する本当の問題は、「SSNがないこと」だけではない
ここで少し注意したいのが、「SSNがないから部屋を借りられない」というわけではない、ということです。実際に駐在員の方が直面する本当の問題は、SSNそのものよりも、アメリカでのクレジットヒストリーがないことです。アメリカに到着したばかりの駐在員の場合、まだアメリカでクレジットカードを使った履歴がありません。つまり、クレジットヒストリーが「真っ白」の状態です。アメリカの審査では、この「No Credit (信用履歴がない)」という状態が、必ずしも有利には働きません。大家さんや管理会社からすると、
「これまでどのように支払いをしてきた人なのか」
「家賃やローンなどをきちんと払ってきた人なのか」
という情報を、アメリカのシステム上では確認できないからです。日本では一度も支払いを滞納したことがなくても、アメリカでの履歴がなければ、それを証明することが難しいのです。
日本での実績はそのまま反映されない
日本でどれだけ大企業に勤めていても、高収入であっても、長年クレジットカードを問題なく利用していても、日本での信用情報がそのままアメリカのクレジットスコアに反映されるわけではありません。そのため、アメリカに来たばかりの駐在員は、アメリカのシステム上では、「信用情報のない新しい入居希望者」として扱われることになります。これが、渡米直後の賃貸探しで、多くの駐在員の方が戸惑う理由の一つです。
クレジットスコアがないと家は借りられない?
では、クレジットスコアがない人は、アメリカで家を借りることができないのでしょうか。
答えは、Noです。
実際には、SSNがなく、アメリカでのクレジットヒストリーがない状態でも、賃貸契約ができるケースはたくさんあります。その場合は、クレジットスコアに代わる「別の形の信用証明」を大家さんに提出します。
駐在員が提出できる「別の信用証明」とは?
会社からのサポートレター
駐在員の場合、特に有効なのが勤務先の会社から発行してもらうレターです。一般的には、
会社名
本人の氏名
ポジション(タイトル)
年収または給与
アメリカ赴任予定であること
雇用が継続していること
などが記載されたレターです。アメリカでクレジットヒストリーがなくても、「安定した収入があり、信頼できる会社に雇用されている」というのを示すことができます。駐在員の場合、勤務先が日本の大企業や海外にも拠点を持つ企業であることも多いため、会社からの正式なレターがあることで、大家さんが安心してくれるケースもあります。もちろん、大家さんによって審査基準は異なりますので、すべての物件で同じように認められるわけではありません。しかし、SSNがないからといって、最初から諦める必要はありません。
敷金を多く払えば借りられる?
「クレジットスコアがないので、敷金を多めに払えばいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、カリフォルニアではセキュリティデポジット(敷金)について法律上の上限があります。そのため、大家さんが自由に「信用がないから敷金を何か月分も払ってください」と決められるわけではありません。
現在のカリフォルニア州では、一般的な大家さんの場合、セキュリティデポジットは基本的に家賃1か月分までが上限です。ただし、一定の条件を満たす小規模な大家さんについては、多少高い上限が適用される場合があります。
事前に確認しておきたいこと
部屋探しを始める前に、まずは次のような情報を整理しておくとスムーズです。
会社の所在地
通勤方法
希望する通勤時間
家族構成
子供の学校
希望する家賃
車の台数
希望する間取り
ペットの有無
渡米予定日
会社から発行してもらえる書類
特にロサンゼルスでは、「どこに住むか」によって毎日の生活が大きく変わります。地図上ではそれほど遠く見えなくても、時間帯によっては通勤に1時間以上かかることもあります。また、お子さんがいる場合は、学区や通学方法も重要なポイントです。
クレジットスコアは、将来家を買う時にも重要
クレジットスコアは、賃貸物件を借りる時だけに必要なものではありません。将来、アメリカで住宅ローンを組んで家を購入する場合にも、非常に重要になります。住宅ローンの審査では、収入や資産だけではなく、クレジットスコアも確認されます。そして、そのスコアによって、ローンの金利条件が変わることもあります。
同じ物件を購入する場合でも、クレジットスコアによって借入条件が変われば、長期的に支払う金額に大きな差が出る可能性もあります。将来的にアメリカで家を購入することを考えている場合は、渡米後できるだけ早い段階から、クレジットヒストリーを意識して生活することも大切です。
まとめ:SSNがなくても、ロサンゼルスで家を借りることはできる
アメリカに到着したばかりの駐在員は、SSNがなかったり、クレジットヒストリーがなかったりするため、最初の賃貸探しでは一般的なアメリカ人と同じ条件で審査を受けることが難しい場合があります。
しかし、
会社からのサポートレター
安定した収入を証明する書類
駐在であることを示す書類
必要に応じた家賃の前払い
などを用意することで、クレジットスコアがない状態でも契約できる可能性は十分にあります。
大切なのは、
「SSNがないから部屋を借りられない」
と考えるのではなく、
「アメリカでの信用履歴がないことを、どのような書類で補うか」
ということです。
駐在前は準備することが本当にたくさんありますが、住むエリアや物件選びは、アメリカでの生活のスタートを大きく左右します。SSNやクレジットヒストリーがまだない段階でも、会社からの書類などを準備しておくことが大切です。
その他、ロサンゼルス、カリフォルニアの生活について、疑問点や不明な点がありましたらいつでもお気軽にご相談ください。